先生、仲間、テキスト。JDCAで得たものは私の財産です
美術短大を出ていますから、もともとモノ作りが好きです。だから、デパートのウィンドウディスプレイなどを見るたびに、「こういうのを作る仕事がしたいな」と思っていました。原点は、なんといっても横浜高島屋のウィンドウディスプレイ。30年以上前…私がまだ小さかった頃、ぬいぐるみとか人形とかがたくさん入っているウィンドウディスプレイがあったんです。それが動くんですよ!もう本当にかわいく夢のような世界で、家族を待たせてずっと見ていました。そんな強烈な記憶があるからこそ、ウィンドウディスプレイに対する興味をずっと持ち続けていたのかもしれません。でも、「すごく体力を使う仕事だろう」と漠然と感じていて。私にはできないという思いから、その仕事に就くという選択肢は考えていませんでした。
カラーの勉強をしていましたから、就職は塗料会社に決めて、カラーコーディネイターとして働いていました。15年間同じ仕事を続けたのですが、12年目くらいから、仕事の中で新しいことを考え出す意欲の喪失と成長していないという焦り、自分自身の「ある程度やれることはやったのでは」という思いが出てきて…、モヤモヤとした気持ちやいろいろなことが重なり、次のステップに進むきっかけを探して、毎日インターネットを眺めたりしていました。
JDCAを知ったきっかけも、インターネットのYahoo!の広告記事です。小さい広告でしたが、「ディスプレイ」という言葉が目に留まって、読んだら卒業生の方がJDCAで学んだことを語っていました。それまで私の地元に専門学校があることを知りませんでしたから、驚きました。
長く勤めた会社を辞めるのは、とても勇気がいります。ひとつの会社でがんばり続けるのは、すごくかっこいいと思うし魅力的。でも、環境を変えたり、前に進むためのきっかけが欲しい。そんな思いを抱えている時に、JDCAを見学しました。初めて店舗に足を踏み入れた瞬間、「こんな楽しいところがあったんだ!」と、ちょっと興奮しました。立体のプロップスを作る授業を見学させていただきましたが、実際に使われている商材を使って授業を受けられることにとても魅力を感じました。もうその時には、気持ちがパーッと明るくなって、希望が見えたような気がして。ひとつの仕事で終わるより、カラーコーディネイターとディスプレイクリエイターというふたつの仕事ができるようになったら人生がより豊かに楽しくなるのではないか、これはもう始めるしかない!という気持ちになっていたんです。まさに、私にとって人生のターニングポイントだったと思います。
会社を辞めずに通う方法も検討してみたのですが、出張の多い仕事との両立は難しく、中途半端にしたくなかったので、考え抜いた末、退職して心機一転、チャレンジすることにしました。
JDCAに入校すれば同じ目標を持っている仲間ができる、そんな期待もありました。少人数制のスクールでなので、丁寧に教えていただけたし、質問もどんどんできた。人脈作りは、セミナーとかデモンストレーション、卒業生の交流会などでしっかりできています。
JDCAの授業では、基本理論が今の仕事でもしっかり役立っています。ほんとにちょっとした基本を実践するだけでも売り場が変わるんですよね。現在手掛けているグッチーニのディスプレイも、最初にトライアルで任された店舗で基本を踏まえてディスプレイしたことで、見栄えがよくなって、認めていただけて。そこからお仕事が始まりました。ある百貨店の売り場を手掛けた後に「それまで売れなかった商品が売れた」と知らされた時は、ディスプレイが認められた感じがして、とてもうれしかった!イメージアップしたことで売り上げにもつながる、それはディスプレイの理想ですから。
だから今でも、JDCAのテキストはよく読みます。動線幅とか、三角構成とか…、ポイントに花を使うことが多いので、季節の花を間違えないためにも読み返しています。
卒業してから、先生のアシスタントなどもやらせていただきました。それもものすごく勉強になりました。ワークフローやクライアント対応など、「現場の裏ワザ」みたいなことまで学ばせていただいて。すべてが今に役立っています。前の仕事では、デザインしてプレゼンテーションするところまででしたが、今は、プランから撤去まで、まさに「ゼロからゼロまで」を全部やる。すべてが見えることでとても充実感があります。
ディスプレイの現場では、カラーコーディネイターをやっていた頃の知識も無駄になっていません。現在はJDCAでカラーコーディネイト講座を担当していますが、開講前にはカラーについても改めて勉強し直しました。そういう意味でもJDCAに関する全てが勉強になっていますね(笑)
(2010年1月)