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GRADUATE'S
卒業生の紹介

藤井 孝子 さん

3期生/ライセンス取得コース(現プロフェッショナル養成コース)卒業
日本ディスプレイクリエイター協会 正会員
フラワーデザイン1級講師/ホームステージング協会1級ホームステージャー
ホームステージングTOKIO代表

フラワーアレンジャーとして25年間活躍している藤井孝子さんに、「ホームステージングコーディネイター」という職能が4年前から新たに加わりました。ディスプレイの基礎を学びたいと、ジャパンディスプレイクリエイターアカデミー(JDCA)の扉を叩いてから6年後に訪れた大きな転機です。養成講座を経てホームステージングの会社に就職した藤井さんは、2019年9月に独立。これまで150件以上のホームステージングを手がけています。学びを重ね、経験を積むことで活躍の幅がどのように広がっていったのか、伺ってみました。

 

アレンジ作品の魅力を引き出し、売り上げにつながるディスプレイを学びたい

もともとドライフラワーが大好きで、ドライフラワーの専門誌に作品を掲載されていたと話す、藤井さん。それがきっかけでアレンジメント教室を始めることに。やがて手がけた作品が評判を呼び、百貨店からお声がかかり、期間限定の展示販売も行うようになりました。
お金をいただいて教えるからには資格をと、フラワーデザイン1級講師の資格を取得。さらに百貨店に継続して出店するには、売り上げ実績を伸ばすことが大事です。そのことに気づいた藤井さんは、作品をより魅力的に展示してお客さんの目に留まり、手にしてもらうにはどうすればよいのか、考えました。試行錯誤をするなかでJDCAの存在を知り、ディスプレイの基礎を学ぶためにJDCAに入学。それが2006年のことです。
群馬県伊勢崎市在住の藤井さんは、当時を振り返りながら「月に一度、横浜に通うことは楽しみでした。ほかにも山梨や千葉、埼玉など遠方から通う方も多く、職種も職能も違うけれど、意欲的な人たちと一緒に学ぶ時間は刺激も多く、充実していました」と話します。
JDCA卒業後は、草木染めや藍染めのオリジナル作品も手がけるようになり、販路も広がり、事業は順調でした。「展示販売する場所やお客さんの好みに合わせて、ディスプレイを変えられるようになったことが大きいですね。作品の魅力が引き立ち、以前よりも売り上げがアップしたんです。販売実績を出さないと、次につながっていかないですからね」。

 

“ホームステージング”という未知なる出合いから始まった新しい挑戦

そんな折、JDCAの卒業生に向けて新しく始まる「ホームステージングコーディネイター」の養成講座を知り、受講を決意。藤井さんにとって、4年前のこの講座が大きな転機となりました。
「“ホームステージング”という言葉自体、初めて聞きました。こんな仕事があるのか!と、衝撃を受けたことを覚えています。日本にはまだなじみのないものでしたが、アメリカでこれだけ定着しているのなら、やがて日本でも大きな事業になるだろうと直感しました」。
数か月間の講座を受けた後、ホームステージングの会社に就職してホームステージングコーディネイターとしての活動がいよいよ始まりました。
養成講座では、ホームステージングとは、どういうものなのか、ということを徹底して学んだという藤井さん。不動産物件を早く売るために、ホームステージングでは立地や周囲の環境、内覧者の家族構成など、複合的なリサーチ力がとても大事になってきます。インテリアコーディネーターと、ホームステージングコーディネイターとの違いについても藤井さんは明解で、わかりやすく熱く語ってくれました。

JDCAで学んだディスプレイの基礎がホームステージングでも大いに役立つ

何より10年前のJDCAでの学びが、ホームステージングの仕事に大いに役立っていると力説します。「多岐にわたって専門的な知識が必要な職能ですが、改めてJDCAではこんなに広く、深く学べていたことに驚いています。卒業当時よりも、今のほうが断然役に立っていますね」。そう話しながら、役立っている4つの具体例を教えてくれました。
ひとつが、「フォーカルポイントを作ること」です。不動産の内覧に来た方が、「ここに住みたい!」と判断するのに要する時間は、ステージング業界で約6秒と言われています。室内に入った最初の印象が非常に重要です。そのため、目に飛び込んでくる見せ場をいかに作るか、がホームステージングコーディネイターの腕の見せどころ。その知識とテクニックが「フォーカルポイントを作る」レッスンで培われたと言います。
2つ目が、「VMPをきっちりと把握すること」です。複数のインテリア小物をいかに効果的に並べ、室内空間を素敵に飾るか。室内演出の提案を考えるとき、大変に重宝しています。特に三角構成は、どんな現場でも使えるテクニックです。
3つ目が、「色が非常に重要ということ」です。いまや不動産探しもネット検索が主流です。内覧に来る前にネットで下調べをして、「いいな!」と感じた物件に足を運ばれるので、画像を通じた見映えが非常に重要です。また、実際に内覧に来られた際に空間を広く感じるなど、壁や床、ドアの色と家具との調和など、効果的な色使いはJDCAでしっかり学んでいたので、とても役立っています。
最後の4つ目が、「さまざまなスタイルのディスプレイができること」です。格好よくモダンテイストに、親しみやすいナチュラルテイストになど、物件に応じたスタイルを提案できるのは、「バリエーション豊かにスタイル構成の仕方を教わったおかげですね」と、藤井さん。
「もちろん、フラワーアレンジャーの知識や技術もホームステージングで活きています。ワンルームの物件でも花やグリーンは必ず使いますから、どんな花を選ぶのか、どんな飾り方をするのか、物件に合わせてより効果的に活用できるのは、私の強みだと感じています」。

ホームステージングを日本に広めたい。新しい夢に向かって、会社を設立

ホームステージングコーディネイターとして活動しながら、藤井さんのなかにいくつかの気づきが生まれ、2019年9月に独立します。
藤井さんがホームステージングと出合ったころと違って今では、ネットで検索すれば「ホームステージングをやっています」というサイトがたくさん見つかります。けれど、どれだけ効果的にできているのか、疑問に感じることも少なくないと話します。少しだけ早くホームステージングと出合えた先輩として、これからやってみたいと考えている方に、「ホームステージングとはこういうことですよ。こうするといいですよ」ということを伝え、日本にもっとホームステージングを広めていきたいというのが、藤井さんの大きな将来展望です。
そのためのステップとして始めたのが、小物一式レンタルサービスです。ホームステージングで使う小物類は、担当するホームステージングコーディネイターが探すのが基本です。けれど、地方都市に行くほど集めるのが難しく、コストもかかります。それなら物件に合った小物をすべてセレクトして一定期間貸し出すサービスがあれば、ステージングの質も向上し、コーディネイターも仕事がしやすくなると考え、新しいサービスを展開し始めました。「この仕事は、自分一人ではできないので、仲間を増やして協力していくことが大切なんです」。こう話す、藤井さんの言葉が印象的でした。

興味のあることを楽しむことが、ひらめきを生み、新しい展望を開く

時代とともに不動産物件に求められるものも変化しています。たとえば、「コロナ禍の今、かつてならLDKは子供部屋にという要望が多かったものの、今はリモートで使えるような仕事部屋にしてほしいという依頼が増えていますね」。
時代の変化を感じながら、新しい情報にアンテナを張りニーズを捉えて“カタチ”にすることが、ホームステージングコーディネイターにも必要です。藤井さんは、どうやっているのでしょうか。
「自分が興味のあることは、いろんなところから自然に入ってきます。そして、好きなことを楽しんでいると、ひらめくんです。そのためには、お客さんがどうやったら喜んでくださるのか、自分は将来どうなりたいのか。そういう意識を持ち続けることが大切なのかもしれませんね」。
そんな藤井さんの趣味は、旅友達との沖縄やグアムなどへの旅行です。海でダイビングを楽しむ一方、グアムではスーパーマーケットや雑貨専門ストアを訪問することも楽しみ、パーティーグッズを大量に買い込んできたと楽しそうに話します。日本にないものがたくさんあり、見つけるたびにうれしくなったそうです。そのときに買い込んだものが、日本での仕事に役立つこともあります。
ホームステージングを後輩たちに教える立場になった今、藤井さんが心がけていることがあります。「教わっていることが、自分の未来にどう役立つのか。学ぶなかで将来像をしっかり描くことができれば、学ぶ意欲も高まり、有意義な時間を過ごせると感じています」。