子供時代からすでに、色使いの魅力に取り付かれていたのかも
母が服飾デザインとパタンナーをやっていたせいか、子供時代から「もの作り」は身近なものでした。母は、自宅でお直しの仕事をしていることもありましたし、小さい頃からよく布で遊んでいましたし。あるとき、私が作ったアジサイの切り絵が地域のコンクールで金賞を取ったんです。自分が作った作品が認められて、喜ばれて…「自分が作ったものでこんなに人を喜ばせられるんだ!」と初めて実感した瞬間です。それ以来、もの作りに夢中になりました。
そのときの賞品は「100色クレパス」でした。100色ですよ。もう、うれしくてうれしくて、毎日塗り絵をしていました(笑)。そして、今でも色使いや布使いには自信があります。
大学では、テキスタイルと現代アート(インスタレーション)を勉強していました。空間デザインという意味で、ディスプレイとの共通点が多い世界ですね。ですから、ディスプレイデザインにも自然と興味がわいてきました。
横浜にディスプレイの学校があると知って、すぐにひとりで見学に行くことを決心しました。初めて横浜ディスプレイミュージアムに足を踏み入れたときには、「なんてたくさんの資材や花やウィンドウがあるんだろう!」と圧倒されたものです。その瞬間から入学後・卒業後の可能性を感じて入学を決めていたのかもしれません。その後、地元でお金を貯めて上京して…、横浜へ行くことの迷いはぜんぜんありませんでした。
在学中、私はものすごく恵まれた環境に身を置いていたんだと思います。現在の仕事は、授業で先生に言われたことを身を持って体験しているようなもの。その大切さを日々実感しています。
JDCAの授業のなかでも特に楽しかったのは、インストアディスプレイのグループワーク。メンバーの特性を生かしして担当を決めたり、相談しあったり…、チームで作り上げていく作業ならではの大変さももちろんありましたが、全員で協力して仕上げた時の達成感と充実感は格別なものがありました。
ディスプレイとは、販売促進の一手法なのですが、私にとっては、受け手に楽しんでもらうためのものでもあります。「自分が作った庭でみんなが自由に遊んでいる」、そんなイメージでしょうか。自分の作ったものから何かを感じ取ってもらいたいとは思いますが、受け止め方は個々の自由だと思うからです。そんなディスプレイの楽しさも、最近わかるようになってきました。ディスプレイは服と同じように着せ替えさせられる。毎回新鮮な気持ちで新しいものを作り上げていく楽しさも感じています。
将来は、建築関係の仕事をしている友人、インテリア関係の仕事をしている友人とともに、ディスプレイ空間をトータルでプロデュースする会社を作れたらいいなと思っています。
(2008年5月)