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MESSAGE
講師からのメッセージ

JDCAの特別講師として活躍する、天野よしこさんと原田朋乎さんに、クリエイターとして生涯現役で輝き続ける秘訣をうかがいました。仕事に対する誇りと心構えについて、さらにはライフスタイルにまで話題は広がり、話は尽きません。おふたりのポジティブな生き方は、人間としての魅力にあふれていました。

感性は売っていないの。自分で意識して磨くしかないのよ

「花を纏う」イヤーフックフラワーとチョーカーフラワーとのコンビネーション

「木の実&ドライ花ブック 〜 ドイツ装花 トロッケンゲビンデ」
森本礼子、天野よしこ(出版社マコー社)

アーティフィシャルフラワーデザイナーの第一人者として、第一線を走り続けている、天野よしこさん。花との始まりは、意外にも生花から。フラワーデザインの講師資格を有したのち、ドイツのフラワーデザインを学ぶために短期研修を重ねたそう。名著『ドイツ装花トロッケンゲビンデ』を手掛けるなど、海外の花を日本に最初に紹介した立役者のひとりでもあります。
そして、大きな転機となったのが、アーティフィシャルフラワーとの出合いでした。当時、造花と呼ばれていた花を、アーティフィシャルフラワーという言葉に変換し、発信したのも天野さんが先駆けと話します。
「生花と違い、つくられた花をどう表現し、デザインするか」。
アーティフィシャルフラワーの魅力と可能性を模索し、デザインを次々と発表し続ける一方、一般の方に向けた講習会も精力的に行ってきました。

マイブックの一部。発見や気づきをメモし、創作のヒントにしている。

「花のデザインをするときに、私が心がけていることは、マイブックをつくることです。観察眼って、すごく大事です。街を歩いたり、電車の中吊りを見たりして感動したこと、気づいたことなどを書き留めておくんです。そのためのノートを常にかばんに入れて持ち歩いています。クリエイトすることは、そこに書き留めた事柄から新しい着想を得て作り出す、ある意味では再生なんだと思うんです。だからこそ、マイブックが必要だし、自分だけのオリジナルを生み出す、源泉と言えます」

テューテ型スタンドのベースに、ドームスタイルでグリーンカラーを統一したアレンジメント。クラシックモダンを表現しました。

マイブックに書き留めるのは、絵ではなく、もっぱら言葉で。「言葉の意味を正しく理解しないと、伝えたいことをきちんと伝えられないでしょ。花を纏う、というキーワードから、デザインを考えていくこともあり、言葉をとても大切にしています」

私たちは、花は活けるものであり、その中心にくるものと考えがち。けれど、天野さんは花も器も、素材として同等に捉えます。「花も素材と捉えることで、組み合わせの妙が生まれます。その結果、デザインが非常に多様性に富んでくるんです」

プライベートでもファッショナブルな天野さん。好きな色は、ベージュ。どんな色とも調和し、自己主張しない色。「だからこそ、ワンポイント、挿し色となるアクセサリーが効いてくるんです。お花と一緒ですよ」

天野 よしこ

フラワーコーディネイター
JDCA特別講師(フラワー商空間演出・インストアディスプレイ担当)

フラワーデザイン講師資格取得後、ヨーロッパ各地でフラワーデザインを学び、現在はアーティフィシャルフラワーデザイナーの第一人者として業界内でカリスマ的な人気を誇る。アーティフィシャルフラワーコーディネイトを中心としたデザイン指導に注力し、また、「フラワーデザイン・デモンストレーション講習会」講師としても活躍中。

好きだから、続けられるんです。自分の直感を大切にして。

特別講座「ピンワークレッスン」の作品。平面的になりがちな空間をサテン布を使って立体的に表現します。

ウインドウディスプレイのカリスマ的存在として知られる、原田朋乎さん。フランスからピンワークという手法を日本にもたらした笹原紀代さんに師事し、フリーのデコレーターとしてデパートや展示会場などのディスプレイを多数手がけてきています。
「私がフリーとして始めたのは、ちょうどバブルの前半。ウインドウディスプレイの仕事もどんどん増えてきた時代でした。デパートの地下の食料品から最上階の催事場まで、すべての商品を扱ってきました。それぞれの商品を魅力的に見せて、最終的には購入してもらうのが、私の仕事です」

名刺をもたずに、横のつながりだけで仕事をずっとできたことが、誇りと話します。ですが、この業界は結果がすべて。反響がよくなければ、その後の仕事はありません。
「バブルが弾けてからは、予算も減ってきました。少ない予算で、いかに商品を魅力的に見せるか、私たちの腕の見せ所です」

デコレーターとして様々な経験を積み重ねた原田さんは、「キャリアは大事な財産ですが、それだけでできる仕事ではないですね。その人の感性が大切になってきます」と長く続けられた秘訣を語ってくれました。

「ART BOX Vol.13 帽子デザインファイル世界の、日本の、帽子作家60人」(発行社 ART BOX international)

感性を磨き続けるために、原田さんが行っているのは、写真撮影。気になったものは、とにかく写真に収めます。毎年クリスマスシーズンには、ニューヨークに出かけて、最先端のデコレーションを見て写真に撮ってきます。
現地に出向かなくてもいろいろな情報が得られる時代ですが、質感や空気感など、そこでしか得られないものはいっぱい。現場に行って見てくることは、感性を磨くために、とても大事な要素のようです。

新美術館開催の帽子ショーに出展の作品。タイトル「宝玉のターバン」ピンワーク手法を取り入れて華やかに演出。

デコレーターとして活躍する傍らで、帽子作家という顔ももつ、原田さん。身につける洋服はもちろん、アクセサリー類もすべて手作り。デコレーターとしての眼差しは、自分の魅力を引き出す客観的な視点をも育んでくれているようです。

料理が好きでホームパーティもひんぱんに開催。その様子を話す原田さんの表情は、とても楽しそう。

「デコレーターを長く続けてこられたのは、好きだからでしょうね。好きなものがたくさんあって、いろいろやっているうちにこうなったのね。好きなことに挑戦すると楽しいし、長く続いていくように思います」

原田 朋乎

ディスプレイデコレーター
JDCA特別講師(ピンワーク・インストアディスプレイ担当)

VMDの専門家として、百貨店でのディスプレイを長年にわたり手掛ける。また、売り場づくりやディスプレイに関する人材育成にも注力。熟練のハンドテクニックを確立しながらも、常に最新トレンドを探求し表現に活かす姿勢から、ウィンドウディスプレイのカリスマ的存在として注目されている。

これからクリエイターを目指す方へ、
先輩からのメッセージ

From
Tomoko Harada

魅力的な先生との出会いや対話が、
自分を高めてくれます

1枚の布をピンで留めて、マネキンにまとわせていくピンワークを、みなさんに身近に感じていただきながら、完成させていく手法をお伝えしたいと思います。基本はもちろん大事ですが、そこからどうふくらませて、時代のニーズに合わせながら自分のデザインを形づくっていくのか。感性を磨き続けるしかないと感じていますから、それは私自身の一生の課題でもあります。
感性を育むためにも、一人ひとりの好きという気持ちを大事にしていただきたいですね。私自身、ピンワークでも帽子作りでもこの先生に習いたい、と先生を選んで学んできました。指導する立場になって、もっと自らを高めていかなければいけないと強く感じていますが、人間的に魅力を感じる先生と出会って学ぶことで、感動はどんどん大きくなっていきます。素晴らしい先生と出会い、対話を重ねることで、自分の感性を磨くことが楽しくなってくると思います。

From
Yoshiko Amano

しなやかに、アクティブに!
今という時を大切に

花の仕事を中心に携わって参りました。花1本のミニマムなデザインより、多種多様な花の形成、構成をお伝えしたいと思っております。フラワーデザインの多様性をディスプレイプロップス(演出商材)として表現するには花の基礎となるロジックは大変重要です。と、同時に感性を養い、磨くことも大切です。
だからこそ提案いたします。「マイブック」を作りましょう!
プロフェッショナルとして職を求めるだけでなく、職が自分自身を導いてくれるように、意識して感性を育ててほしいと願っています。私自身、指導する立場にあって、毎回のレッスンが、自分自身の原点に立ち返り、受講される皆さまに新しいものを伝えていくことを使命と感じております。